寝太郎ブログ

2月10日文庫本発売→『自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)』

本を選ぶということ  


バックミンスター・フラーの本を読んでいます。

難しい。

彼の答よりも、問題がまずわからない。

第一に、地球規模の環境問題などテンで興味の無かった自分の勉強不足がゆえにであり、

第二に、そうしたグローバルな問題に対する関心・情熱が、一人の人間の自殺を思いとどまらせるほどの力を持ちうるということがわからない。結局、何がフラーをそこまで駆り立てたのだろうか?


フラーの本は、ブログにコメントをくださった方が紹介してくれた本です。

もしかしたら、一生涯フラーに出会わなかった可能性だってある。

そうして、偶然的に出会った本を素直に読む気になれるというのは、すごく嬉しい。


たまたま出会ってしまったというまさにそのことによって、その本は自分にとって特別なものになり、したがってそれを見る目も歪んでしまうし、そんな偶然的な積み重ねで知識や情報が増えていって、自分自身も偶然の産物に成り果てるのも嫌だ。「出会い」から超越して、自分の人生とは無関係に、読むべき本を決めるべきだ。そういうふうに、ずっと思ってきた。


家族や友人や恋人との出会いもそうだ。

偶然出会ったがゆえに、その人に対して好意を抱いているのであり、そうしたまやかしを取り除いて、50億分の1として見なければならない。


映画や音楽もそう。

この時代、この国に生まれたから耳にした、流行のJ-POPや夕方5時の町のスピーカーから流れる音楽などは、どんなに感覚的に訴えるものがあっても、なるべく聴かないほうがいい、リズムもメロディも歌詞も、覚えないほうがいい。あとで口ずさむなんてもってのほかだ。


ちょっとした買い物もそう。

近くのホームセンターで偶然目にしたものは、私がそこにたまたま住んでいたという要因が働いているものであって、どんなに無駄な時間がかかっても、インターネットで徹底的に調べ比べ悩み迷い選択しなきゃならない。


ちょっとした分かれ道もそう。

見知らぬ町の分かれ道で、気の迷いで右に来てしまったけど、右を選んで右の道の記憶ができてしまった今や、その分右に関する評価は下げなければならず、実は左のほうに分があって、左に進んだほうがずっといい一日が待っていたんじゃないかと、左の道のことで頭が一杯になる。


そして、その「出会い」に訴えようとする広告が町の至るところになんと溢れていることか。

少しでも頻繁に、大きな写真と文字と音楽で、過激だがヴァーチャルな出会いを人々に提供しようと手ぐすね引いて待ち構えている。


「出会い」を信じられないのは、まったく不愉快で腹立たしく、精神的に苦しい。

他人が信じられず(他人の好意が信じられないのではなく、他人が自分にもたらす影響が信じられず)、インプットを必要以上に警戒し、意識的に遠ざけ、自分の過去の経験も信じられず、自分の一挙手一投足を常に疑う破目になる。

自分がある対象に対して抱く感情を信じられなくなる(これは非常につらいことだ)とと共に、「今、ここ」に生きているという実感が薄れてくる。

過去にあったことと、今目の前で起こっていることと、未来に関する想像とが、ほとんど同等の扱いになって、整理がつかなくなってくる。

「あぁ、俺はここにいるな」という、宇宙の中でのパースペクティブ(ある視点からの眺め)という奇跡体験が、どんどん自分から消えてなくなっていく。


そのような状態が正しいのか間違っているのかはよくわからないが(たとえば、「真実」というのは一般に、パースペクティブを排除し尽くした挙句に初めて見出されるものだと捉えられているだろう、そういう意味では正しいとも言えるかもしれない)、自分が心から望んでいることとは思えない。

パースペクティブを失うことは、自分が自分でなくなってしまう気がして恐ろしいし、パースペクティブのみによって人生を歩むのもまた、一つの狂気である気がする。

一番望ましいのは、訓練して自由に人格を引っ張り出してこれるようになることだとおもうが、残念ながら今のところ全く制御できない。


自分が「出会い」の要素を排除して物事を理解したり判断したりできないのは、自分に知恵が足りないからだとずっと思っていた。

あるいは、自分の生活は、表面的な理解を伝達・共有するという、うわっつらな役割を担うものにすぎないと思っていた。

この世界のどこかでは、出会いとは無縁な、完全無欠の理性的判断が行なわれていると思っていた。

自分は不幸にも、そういう美しい生き方とは無縁な人間として生まれただけだと思っていた。

しかし、今はそうは思っていない。

つまり、視点をもって、感情を抱き、人を信じる、つまり出会いながら生きるということこそが、知識や理解を支えていると思っている。

そのことの証明を見つけたが、それを書くには余白が狭すぎる(by リー太郎)。



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月3万円しか稼げない、競争から外れたところにあるビジネス(つまり、隙間産業の極端なやつ)のススメと実例。

著者は「非電化」の藤村氏。

ローカル化、地方での持続的な経済循環、奪い合いではなく分かち合い、などがキーワード。

コツとして、ネットで売らない、卸売りはしない、借金をしない、客は神様ではなく友人、仕事と趣味と社会活動をなるべく切り離さないようにする、支出の少ないライフスタイルを愉しむ、生計との闘いにしない、などを挙げている。

「スロービジネス」とでも命名してしまったほうがシンプルな気がした。まだまだ理想論という気はする。

今の形になったのには何らかの理由があるはずだ。つまり、なぜローカルビジネスが衰退して現在に至るのか、それがどうしてこのタイミングで乗り越えられるのかを知りたい。

ローカルで小さなビジネスの良い所だけを書き連ねられても、怪しいなぁとしか思えない。

藤村氏の箱庭で実験的にやってみようと思う人はいるかもしれないけど。


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自由に生きないことと引き替えに、ちきりんは「それなりの人生」を手に入れました。それでも、一生に一度も自由に生きられないというのなら、私が私に生まれてきた意味はどこにあるのでしょう?

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低年齢化するホームレス。彼らは既存のホームレス概念とは少し異なり、野宿を頑なに拒否したり、身なりに気を遣ったりするという。
明日食う金に困っている人間がネットカフェに一晩2000円使ったりとか、パチンコやらホストやらで自堕落な生活を送った挙句の路上生活であったりとか、あまり共感できない。

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以上、HP不足により書評は割愛。




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category: 彼岸
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コメント


32 ■Re:無題

>yasuharuさん
家は何事もなかったかのような顔してます

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 20:05 | edit



31 ■Re:無題

>感想さん
うん、とにかく考え続けるしかない
思考停止しての自由はまやかしだと思う

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 20:04 | edit



30 ■Re:ラーメンを食べるということ

>とおりすがりさん
承知しました

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 20:01 | edit



29 ■Re:興味大ありに1票ついか

>47198さん
子供は勝手に好きなことを考えて好きな方向に育つから、できるのはご飯を食べさせてあげることくらいなような気がする。学校でもどこでも。

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 20:01 | edit



28 ■Re:補足

>感想さん
へー!知らなかったです。別の本も読んでみますね

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:54 | edit



27 ■Re:レポートしないの?

>toorisugariさん
レポートできませんでした・・とりあえず、なんともなかったみたいです

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:48 | edit



26 ■Re:無題

>リアル無職さん
頼まれました!

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:47 | edit



25 ■Re:だいじょぶ?

>ぷりんさん
家もなんともなかったです

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:39 | edit



24 ■Re:備えあれば・・・

>しろわんさん
野宿に直撃しましたが大丈夫でした

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:39 | edit



23 ■Re:寝太郎さんのお友達?発見!

>さしがねさん

こりゃいいっすね!
シンプルなのがいいよね。
俺がもうちょっと社交的だったら遊びに行ってたのに

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:38 | edit



22 ■Re:そんな事より飯の画像頼みます

>豆さん
頼まれました

毎年寝太郎 #79D/WHSg | URL
2011/09/28 19:32 | edit



21 ■無題

一週間更新が有りませんが‥台風は無事に乗り切ったんでしょうか?

yasuharu #79D/WHSg | URL
2011/09/27 22:19 | edit



20 ■無題

結局、「出会い」排除したつもりでも、「出会い」に
影響されて、「その選択k」を拒否したという「出会い」の裏返しというか、第2の出会いの影響下の道に進んだに過ぎないのではないでしょうか。

それからの自由があるとすれば、それを正しく判断できる思想を組み立てる以外にその影響から自由になる術はないのではないかと思うのです。

知らなかったからよかったっていうのはあまりに身もふたもないと思うのです。

感想 #79D/WHSg | URL
2011/09/23 23:01 | edit



19 ■これから

古代ギリシャ時代では哲学は科学を内包するものだったそうですね、哲学から分岐して数学も自然科学も生まれた。

元々哲学は数学も自然科学も内に含めていたということです。

ここらで先祖がえりというか、元の自分を取り戻すために、再び分かれた自らの一部を取り戻すことが必要だと思います。

フラーの統合性はそれを満たすと思っています。

思いつき #79D/WHSg | URL
2011/09/23 22:50 | edit



18 ■無題

「出会い」の「偏り」を真に排除するためには、全人類68億人分の出会いを一人の人生に「再現」する必要があると思いますが、そうするには時間的リソースが個人一人に求めるには長すぎます。

人間は60兆の細胞で成り立っていますが、寝太郎さんが理想的に求めていることを再現するためには、一つの細胞で60兆の細胞の存在を「同時」に行うことを求めています。

それは不可能だし、ナンセンスだと思います。

感想 #79D/WHSg | URL
2011/09/23 22:36 | edit



17 ■ラーメンを食べるということ

などというタイトルで寝太郎さんの世界を
語って頂けたりすると大変良いのではないでしょうか?

とおりすがり #79D/WHSg | URL
2011/09/23 22:29 | edit



16 ■興味大ありに1票ついか

私もご飯の写真より、考え方とかの文章好きです。どうしてこういう生活を選択し、両親はどうおもっておられるのかな?とか(本にはそんな話もあるのでしょうか?)

日本では認められていませんが、もし子供をもたれることがあるなら、自分で教育したいのでしょうか?(学校行かせないで)アメリカでは可能らしいですが。

何でも計画的なねたろうさんなので、結婚とか子育てとか考えがあったら書いて欲しいです。

47198 #79D/WHSg | URL
2011/09/23 07:26 | edit



15 ■補足

バックミンスター・フラーは32歳の時、それまで
「他人」である周囲に言われてきた、何度も何度も
言い含められてきた価値観、「他人を押しのけなければ、お前が幸せになる取り分はない」ということに
、渋々付き合ってきた限界が来て、経済的にも社会的にも破綻し、

そして、ダウンタウンに「逃亡」したそうです、その他にも無人島で自給自足をしながら、自分が自殺寸前で改心したときに浮かんだ思想を深めるために、思索に没頭する期間を持ったりしたそうです。

寝太郎さんの思索の過程がフラーと同じになるかどうか、それが正しいことなのかどうかも分かりませんし、違っていて当たり前とも思います。

ただ、フラーが逃げ出さざるを得なくなり、寝太郎さんが「避難」した、共通する何かがどちらの場合にもあると思います。

個人の自由なのか、真実を理解することを妨げることなのか、とにかく「何か」が現在の日本の社会にも(そして恐らく世界中にも)あるのだろうと感じます。

感想 #79D/WHSg | URL
2011/09/22 20:43 | edit



14 ■無題

>>13さん

そうです、ゲーデルです、私の間違いです。

混乱させてすみません。

感想 #79D/WHSg | URL
2011/09/22 20:28 | edit



13 ■Re:無題

>感想さん
なるほど。外部の必要性は、10年位前にはやった、散逸理論や開放系などエントロピーの概念抜きで説明されるものかも知れませんね。ところで、「ヘーゲルの不確定性原理」というのは「ゲーデルの不確定性原理」の事でしょうか。ネットで調べたのですが、不明だったのでお尋ねします。

piko #79D/WHSg | URL
2011/09/22 06:57 | edit



12 ■Re:あほか

>あずまさん
嫉妬か。みっともない。
それに、「このブログに来るやつは考え方に興味もってない」とか勝手に言ってんじゃねーよ。
興味、大ありなんですけど!

きょういちろう #79D/WHSg | URL
2011/09/22 01:38 | edit



11 ■レポートしないの?

台風のレポートするべきでは?
こういう自然の中で小屋で暮らす、Bライフの研究なんだから、変な話格好のネタでしょう。
画像付きで更新まってます。

toorisugari #79D/WHSg | URL
2011/09/22 01:16 | edit



10 ■あほか

自分の頭を良く見せようとする文章を書く奴だな。

「宇宙の中でのパースペクティブ(ある視点からの眺め)という」

意味を後付けするくらいなら、最初からその言葉を書けよ。

このブログに来る奴はおまえのうさんくさい考え方なんかに興味持ってないよ。

あずま #79D/WHSg | URL
2011/09/21 22:51 | edit



9 ■無題

>そんな事より飯の画像頼みます
同意(笑 哲学は???なんで 

リアル無職 #79D/WHSg | URL
2011/09/21 21:24 | edit



8 ■無題

ヘーゲルの不確定性原理は、「それ自体」のある概念なり理論なりは、その理論の場の「内側」のみでは、その正しさを証明しえないということを証明しているそうですね。

自分は数学はよく分かりませんが、もし確固とした純粋な矛盾なき真があるとしても、それを証明するにはそれの「外」が必要です。

なんの根拠もなく、ただ倫理的に反対しえない主張だからといって始めから信じ込むのは愚かなことですが、「外部」を「理解」せずに拒絶して、「内部」だけで理論を組み立てても、それは永久にその正しさを証明しえないでしょう。

バックミンスター・フラーは「クロノファイル」の山を積み上げました。
自らを「外部化」するために。

感想 #79D/WHSg | URL
2011/09/21 20:14 | edit



7 ■だいじょぶ?

さすがに今回はヒヤッとしてるのでは、
でも自然の防風林が機能することを祈る。

ぷりん #79D/WHSg | URL
2011/09/21 18:34 | edit



6 ■備えあれば・・・

台風が寝太郎さんのいる方に向かっています。
抜かりはないと思いますが、念のため。

しろわん #79D/WHSg | URL
2011/09/21 12:21 | edit



5 ■寝太郎さんのお友達?発見!

寝太郎さんのBライフみたいですが、
対象的で面白そう、 

http://maikoya.blog.fc2.com/

さしがね #79D/WHSg | URL
2011/09/21 11:39 | edit



4 ■欄外の証明には・・・

欄外の証明には、エントロピーや散逸系、非平衡定常型といった概念がカギになっているのでしょうね。

piko #79D/WHSg | URL
2011/09/21 07:29 | edit



3 ■そんな事より飯の画像頼みます

・・・

豆 #79D/WHSg | URL
2011/09/21 06:46 | edit



2 ■苦しいですね

人は無職になっても自由にはなれないのですね。

zou #79D/WHSg | URL
2011/09/21 05:27 | edit



1 ■苦しいね、

その狭い家で私には理解出来ない深かく、物事を考えているんですね。AB型ですか?もう少し楽に生きたらいいのにねー。性格なんですね、

ポンスケ #79D/WHSg | URL
2011/09/21 01:37 | edit



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