寝太郎ブログ

2月10日文庫本発売→『自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)』

『農村生活カタログ』(伊藤昌治著、農山漁村文化協会)  



明治から大正にかけての著者(ごく普通の農家)の体験が綴られています。

具体的に参考になるというよりも、ほんのつい最近まで日本でもこんな生活が当たり前だったんだと思える本でした。


【水】飲用は共同井戸。家には80リットル程の水がめをおき、毎日水汲みをした。生活用水は、水路を引き入れ、各家はそこに洗い場を持ち、米とぎ、野菜洗い、食器洗い、洗濯、洗面、風呂用の水汲みなどを行った。

【燃料】薪またはそれに類するものが必須。木炭はカリ肥料に、藁灰の灰汁は洗濯剤として使われた。石鹸は貴重品であった。

【照明】石油ランプ、菜種油の行灯、カンテラなど。電灯がついたのは大正になってから。

【運搬】荷車(≠リヤカー)は、高価かつ荷車税という税金がかかり、普通の農家は買えなかった。しょいこやもっこなどが一般的で、後にリヤカーに取って代わられた。

【乗り物】歩くのが普通。人力車は高級で、時代が進むにつれて鉄車輪、硬いゴム、空気ゴムへと変化。

【食事】三食質素で食後には必ずお茶。朝は、麦飯に味噌汁、漬物。昼は、朝の残り物。夜は、飯を炊いたり、朝の飯を温めたりして、一品のおかず(サケやマスの一切れや、野菜の煮物など)がつく。粉物で米を節約し、少しでも多く米を現金化する。

【箱膳】家族全員が各々持っている、木箱様の膳で、この中に箸や汁椀、ご飯の盛られた茶碗、小皿、布巾が入っている。蓋を返すと膳になる。各自食事が終わると椀にお湯をもらい、箸で米粒などを落としつつ飲み干す。そして布巾で拭く。布巾は年に数回洗う程度で常には箱に納められている。食器も年二回ほど水洗いするだけだった。
(※この不衛生さは注目に値する。私は食器を水洗いして乾かしているだけだが、これよりずっと衛生的である。)

【農業】百姓は、鍬・鎌一丁あればできるといわれた。

【肥料】人糞尿が主体で、他はその補いにすぎなかった。農家には軒下に小便溜と大便所があり、屋敷の一隅に仕入溜があった。仕入溜は木桶を埋めたもので、雨水が入らないように屋根をつけてある。便所から下肥を汲み取り仕入溜に入れ、水で希釈して腐熟させる。下肥は自家だけでは不足するので、町場の家からもらったりする。台所の流し台は外の流し溜につながっていて、そのまま野菜に施されたり、いったん仕入溜に入れられたりする。他に、菜種油粕や米糠、鶏糞など、全て仕入溜へ入れて腐熟。
(※「流し溜」と呼ばれているものにどんな種類のものが落とされたのか、固形物か液体かすらわからない。※「水で希釈して腐熟」というのは、どういう過程なのか?醗酵なのか、腐敗なのか、別のものなのか。※別に「堆肥」という項があったが、何を指しているのか不明。野菜くずなど?野積みにしていたと書いてあるが、糞尿とは混ぜなかったということか?)

【家畜】家畜は稀だったが、鶏は多くの農家で飼っていた。みな放し飼いで、5~6羽。止まり木の下に糞受け、そのそばに産卵用巣箱を、犬猫の襲来を防ぐために高い所に吊るす。卵はごちそうで、家では食べず現金収入源に。ヒナは自家で孵化して育てる。雄鶏や廃鶏はときどき巡ってくる鶏屋に売却。自家で解体処理は珍しかった。
(※放し飼いの鶏が「止まり木」にどれだけ居てくれるのだろうか?※鶏は高い所まで飛べるんだっけ?)

【結婚】ほとんどが媒酌人による媒酌結婚であった。仲人が両家の間を往復して話をまとめる。話を持ち込まれると、それぞれに相手方の資産状況から家族関係・血統・家柄・親類関係まで調べる。近親に悪い病人や問題の人物がいるかどうかまで詳細に調べあげる。そのうえで、家柄・資産状況など釣合いがとれていれば話は順調に進む。先方の近所に知人でもいれば、それを頼っていき、何とか口実を設けて本人を外へ連れ出してもらい、物陰からそっと人物を見る。話を決める前にはもちろん親戚に相談をする。いろいろな事情で、家柄の極度に異なる家と話が決まると、親戚の中には、不満を爆発させて親類づきあいをやめる者も出る騒ぎになることもあった。こうして話が決まっても、本人同士は一度も顔を合わせることもなく、見合い用写真などもない。結婚式の夜まで全く知らないのが普通。恋愛結婚などとんでもないことで、周囲の反対を押し切って結婚しようものなら、「くっついた」といって軽蔑された。
(※おもしろかったのでほぼ原文まま)

【病気】病気になっても医者にかかる者は少なく、富山の置き薬に頼っていた。

【乞食】ぼろをまとい、各家を回って歩く。「乞食は三日やったらやめられない」といわれるほど収入があったという。多くは神社や寺の縁の下に住んでいた。

【風呂】風呂場を持っている農家は稀。移動可能な風呂桶で沸かす。夏は行水などで間に合わせる。冬は3、4日おきに近所の家にもらい湯に行く。どこの家でも風呂を沸かすと近所へ「お風呂に来てください」と案内をして歩く。

【虫】蠅・蚊との闘い。食べ物が出るとわっと集まってたちまち黒くなる。昼寝をして顔に集まって安眠を妨げる。便所、仕入溜、堆肥場など全てが蠅の発生源で、表面は蛆で真っ白になるほど。蚊も、蚊柱が立つほど発生。




このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 昔の生活
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

コメント


3 ■無題

>とむさん
確かにいろんなところにお金を使う事は自分も寝太郎さんに本当は金持ちの道楽でやってるんじゃ無いかと疑問は持ちますが
世間から逸脱するのに「好きに出来るかな?」との返答に立ち向かってる様にも見えます
でもBライフするにもある程度のお金は必要なんだと痛感させられますね

ペイル #79D/WHSg | URL
2010/12/30 10:42 | edit



2 ■Re:方向性

>とむさん
そうですか?
それほど方向性は重要ではないと思います。
私は寝太郎さんの「変に肩に力の入っていない」ところが好きです。
今回の本の紹介もBライフの参考という意味だと思いますよ。

しろわん #79D/WHSg | URL
2010/12/30 05:28 | edit



1 ■方向性

この記事を読んでいると寝太郎さんの方向性を
疑ってしまう。

とむ #79D/WHSg | URL
2010/12/30 00:47 | edit



コメントの投稿

Secret

プロフィール

最新記事

最新コメント

著書

カレンダー

カテゴリ