寝太郎ブログ

2月10日文庫本発売→『自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)』

『日本の隠遁者たち』饗庭孝男  


病気につけ、貧乏につけ、退屈につけ、空虚につけ、自分はいつもさうした山の小屋の生活を夢想に描き、幾日も続けて、机の上の原稿紙に小屋の設計図を書いては破ぶき、書いては破ぶきしては、寺の暗い部屋での所在ない日を送ってゐた。
葛西善蔵「落葉のやうに」

隠遁が切実に要求されるのは、・・・他者との比較による秩序が整備された官僚社会において、対他意識に毒された心の歪みから、それを取り戻し、生の直接性に回帰するためだったのである。
伊藤博之『日本における遁世の理念』

世をのがれて、山林にまじはるは、心を修めて道をおこなはむとなり。しかるを、汝、姿は聖人にて、心は濁りに染めり
鴨長明『方丈記』

所詮、私は生家のなつかしい夢を見て慕い、あちこちうろつき、そうして死ぬのかも知れない。
太宰治『津軽』

日本の隠遁者たち (ちくま新書)
以上、『日本の隠遁者たち』より孫引き。

農耕生活による円環的時間の平穏の中に、仏教によって直線的時間がもたらされ、生の儚さ、人間の無常を思うとき、大伽藍より草庵、富より清貧に惹かれ、雑事から身を引き、世の中から隠れて生きることを願った人もいた云々、として始まる、文献研究を元に「隠遁」を論じた学者的な一冊。



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category: 生き方

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