寝太郎ブログ

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『ドングリと文明』W.B.ローガン  


ドングリと文明
狩猟採集の移動生活から、農耕牧畜の定住生活へ、というのがこれまで定説とされてきた大まかな人類史であった。
著者ローガンの仮説によれば、この二つの生活形態の間隙を埋めるのが「ドングリ文化」であるという。

大型哺乳類を追いかけていた人々の足を止めたのは、米や麦の栽培ではなく、ドングリを雨のように降らすオークの森であった。ドングリ文化こそが、家を建てて定住し、安定的な主食を摂って、文明や技術を拓き、そして人間らしい思索を可能にした。

ドングリは、栄養豊富で、手に入れやすく、貯蔵も簡単であった。面倒なのはアク抜きだけだが、どこのドングリ文化でも優れたアク抜きの手法が伝えられてきた。ドングリを拾う労働量は、麦を収穫して同じカロリーを摂取するのに要する労働量の十分の一であるという試算もある。

また樹木は家屋を始めとするあらゆる家具や乗り物、建造物の材料となった。そうして、オークの森を中心として文明を展開して後、その周辺で羊を飼ったり、麦を育てたりし始めた。いわゆる農耕牧畜生活のはじまりである。

以上が、ローガンの仮説である。なお、これは学術書ではない。あくまで一作家の仮説である。

日本は縄文時代からはじまって、世界でも最も近年までドングリ文化、あるいはもう少し広い意味での「雑木林文化」が存続してきた地域である。しかし日本らしいカシ・ナラ文化も、石炭と石油との産業革命によって、いわば木製品の模造品の文化へと変わり果てた。

とは言え、カシ・ナラ・クヌギは生え続けているし、ドングリはほとんど放置されていて、拾っても誰も文句を言わない。こっそり一人で「ドングリ文化」を復活させれば、日本全土が自分の定住地みたいなものである。



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