寝太郎ブログ

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二種類の自意識と生きる力  


「自意識」と呼びうるものには、他人の視線と、自分自身の視線と、二種類がある。これも、生と死によって説明できる。

生の人格は、物語的であり、パースペクティヴ的であり、時間的であり、一人称的である。
死の人格は、非物語的であり、俯瞰的であり、非時間的であり、匿名的である。

後者を「死の人格」と呼んでいるのは、物事を外部から俯瞰的・メタ的に眺める視線の極限が、「死の観念」だと思うからである。

広く一般に「自意識」と呼ばれているものは、「生きる」という文脈において、自分の物語と他人の物語との関係性の中で生じる。すなわち、他人の物語の中に自分がどのように登場しているかを気にかけることが、生の人格における自意識である。

self1.jpg

自分の物語を描くことに専念すれば、他人の物語と調和して新たなひとつの物語が生まれるが、恐怖心や支配欲、承認欲求等々によってこの自意識が呼び覚まされれば、他人の物語の中に自分を描こうと躍起になり、物語と物語との際限のない戦いに陥る。

いずれにしても、生の人格における「自意識」は少なくとも生きる力にはなる。

一方、死の人格における「自意識」というのは、単に、自分で自分を見ているに過ぎない。

self2.jpg

こちらは、時間の流れを止め、今という時を遠い昔話の一幕のように非時間的なものにしてしまい、自分を七十億分の一の匿名的な存在にし、人生という物語の中に没入することを妨げ、結果、生きるエネルギーを殺ぐ。




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category: 彼岸
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