寝太郎ブログ

2月10日文庫本発売→『自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)』

J・アタリの予言の現実化、貧乏人の楽園はいずれ終わる  


この小屋、既にテレビアンテナは取っ払っていて、たまにスマホのワンセグでテレビを見ている。Bライフにはワンセグが合っている気がする。電力もほとんど使わないし。

昨晩も、少し寒の戻りがあった中、布団にすっぽり包まってワンセグを見ていた。

以前、「現代は所得の再分配が極大に達していて、貧乏人にとっては最初で最後の楽園なのではないか」というようなことを書いた。ジャック・アタリの予言によれば、市場の発達と共に「国家」「公共」という概念が無力化し、お金による契約社会へと変わりゆくからである。

昨日の「"独立"する富裕層 NHKクローズアップ現代」は、ジャック・アタリの筋書きの現実化が着々と進行中であることを物語っていた。要約すると、こういうことらしい。

アメリカの富裕層(の一部)は、自分たちが支払っている高額の税金が貧困層のためにばかり使われていることに不満を感じている。そこで、富裕層だけで新たな自治体(市)を作る動きが加速している。

新しい市の運営は大部分が民間に委託され、豊かで、ハイテク・ハイセキュリティな特権地区ができあがる。それはサービスをお金で買う契約社会、株式会社化された自治体である。

このような特権地区が最初にできたのは2005年である(サンディ・スプリングス市)。現在では、その数は30近くに達しようとしている。

一方で、税収が減った周辺地域は、公共サービスが削減され、治安悪化・荒廃を招いている。図書館、公園、高齢者センター、公立病院、公教育、刑務所、警察など、あらゆる公共サービスが打撃を蒙っている。

(参考:「"独立"する富裕層 NHKクローズアップ現代」

番組中では「見えないフェンス」というような言い方をされていたが、要は、周辺地域から隔離して、富裕層だけの理想郷を作ってしまうということである。

同様のコミュニティ建設は、これまで貧困層によって幾たびも繰り返され、そしていずれも失敗してきた。それは、結局は外部と繋がらなければならなかったからである。

外部と繋がらなければならないのは富裕層のコミュニティとて同じことだが、全体を「市場原理」が支配しているために難しいことではなかった。お金の力によっていとも簡単に理想郷が実現されてしまった。

しかも、ある公的な自治体の「中での」コミュニティではなく、「市の独立」という形で、行政区域単位で、もちろん合法的な手続きに則って、独立しているのである。

こういうのは、ひとつ具体例ができると、それに倣う人たちが続出し、どんどん加速してゆくのだろうと思う。また、既にできた理想郷にはさらに富裕層が流入し、格差はどんどん広がってゆく。

単なる収入格差ではない、住む場所や公共サービスにまで及ぶ富裕層と貧困層の二極化という事態。これが、より理想的な「全体としての理想郷」に至るまでの過渡期であるのか(オバマ大統領はそういうことにしたいようで、富裕層のやり方を後押しするような政策を、そしてその層を増やす方向を目指しているということだった)、それはわからない。

いずれにしても、現代日本はちょうどいいバランスで恵まれているのだと思った。しかし、いずれは・・・。

追記:その他関連文献
要塞町の人々 ~アメリカ・競争社会の勝者たち~ NHKスペシャル
ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)




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category: ライフスタイル

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