寝太郎ブログ

2月10日文庫本発売→『自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)』

本を三冊ほど書いて、憑き物が落ちたみたいになった  


半年ほど前の文芸誌だったか思想誌だったか忘れたが、誰かが「本を三冊ほど書いて、憑き物が落ちたみたいになった」と書いていたが、まさにそのような感じである。もう十年近く、なんだか首の後ろが痛かったり、疲れやすかったり、起き上がれないほどだるかったり、いくら寝ても眠たかったりしたのだが、三冊目を出してからそれがピタリと無くなった。

別に、元気になったというわけではない。満足したというわけでもない。心が軽くなったというのも語弊がある。ただ、確かに何か変わった。貪るように昼寝することは無くなった、というかできなくなった。何もしていないのに疲れるということもなくなった。

何がどう原因してそうなったのか、正確なところはよくわからない。出版以外にもいろんなことがあった。けれども、大学ノートやらパソコンやらに書き溜めていた、互いに結びつきのない膨大な断片を、ごく一部ではあるが、なんとか一本の糸で縫い上げて、かつそれを自分の内にしまっておくだけではなく、外に向かって開示したということが大きかったような気がする。これは自分で日記を書き続けていただけでは起こらなかっただろうと思う。多くの人は、この開示作業を日常会話の中でやっているのかもしれない。僕の場合は日常会話というものがほぼ皆無であったため、内部に澱のように蓄積され続けていた。言葉の塊、思考の塊というのは、実際のモノ以上に重たくて、その重みで首が重力に負けてどんどん垂れ下がってゆくのである。

ブログを始めた頃から既に、この変化を認識していた。つまり、開示することによって少し身が軽くなるという現象に気付いていた。ただ、ブログと本と違うのは、電子か紙かではなく、その権威の差でもなく、ひとえにその長さであると思う。断片的だったものが一つながりに結びつく、その量の違いである。だからブログも同じテーマで長く書いているとそういう変化が生じるし、逆に瞬間的に思いついたことを排出するツイッターではそういうことはない。

本を書いたことによる代償というのもいくつかあって、その最たるものは、やはり「死」について長く考えていたことによってその不安が増長したことである。そしてそれによって、ただ理解することのみを至高とするのではなく、その不安の手綱をどのように握ってゆけばいいのか、そちらにも関心が向くようになった。前者を哲学とするならば、後者は宗教の部類に入ろう。

ただ、宗教も少し足を踏み入れてみれば(帰依するという意味ではない)、そもそも問題意識がまるで自分と異なる。例えば仏教は、どうも、生は苦しみ、死や永遠の無は安らぎとする傾向にあり、苦しみを生む煩悩への対処として死や無常の観点が説かれる。自分は全く逆である。自分は死のほうが怖いし、それと表裏一体の関係にある無常の観点のほうが、煩悩に苛まれることなんかよりもずっと怖い。煩悩や執着のようなものが全く無くなってしまったらと思うと恐ろしいので、それを失わないように、それを最も大切なものとして生きている。

細かいことはともかく、そういうわけで僕は生や死という問題に対する答えよりも、そもそもそれらの何を問題と感じ、何を恐怖と感じ、何を安らぎと感じるのか、そこのところに関心があるのであって、なにか宗教というものがそれを誰もが共有しているかのように扱っているのが不思議であり、言葉を換えれば、個々の人間の世界の捉え方に対する関心、つまり人間に対する関心へと帰着する。

その根底には、自分はどうしてこんなに死を恐怖と感じるのか、そうでない人との違いは何であるのか、たとえば現世で幸せを感じているか不幸を感じているかの違いであったり、あるいは自我が大きいか小さいかという違いであるのか、自分は煩悩や欲望が他人と比べて大きいのだろうかとか、知りたいという思いがある。自分はあとせいぜい五十年くらいのうちに、自分の死について、諦めたり、何かしらの納得を得られたりすることがあるのだろうか。

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さて、最高の季節である。

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快晴にもかかわらず傘を片手に徘徊。頭悪そうな感じ。

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こういうことです。頭いい。

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山菜セット。タラノメが小ぶり・・・。

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別の日、大ぶり。

今シーズンも小屋や別荘が乱立するようなエリアをずいぶん走り回っているが、未だに自分の小屋よりお粗末な小屋を見たことがない。




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category: 小屋の日常
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